Falloposcopic Tuboplasty
体外受精を開始する前に、または体外受精を実施してきたが結果がでずに
現在タイミング、人工授精で頑張っておられる方へ、
“卵管鏡下卵管形成術(FT)”という選択肢をご提案していきます。
自然妊娠をお望みの方へ
理事長
FTは、詰まっていたり、
狭くなっている卵管を通す
カテーテル手術です。
まず子宮の中にFTカテーテルを挿入し、
卵管鏡で卵管の入り口を確認します。
入り口が確認できれば、その中にバルーンといわれる管を伸ばしていきます。
このときバルーンの中心には卵管鏡が入っています。
この操作によって、閉塞または狭窄部位を拡張することができます。
障害部位を開通した後は、バルーンを引き戻しながら卵管内腔面を観察していきます。
手術時間は、両側でも約30~40分です。
子宮卵管造影検査で、片側あるいは両側の卵管閉塞、または高度の狭窄所見が確認された場合に手術適応となります。
ただし、卵管采(卵管の腹腔側の先端)の部分で完全に閉塞している場合は、腹腔鏡手術が必要であり、FTの適応とはなりません。
一般に、不妊症の原因全体に占める卵管通過障害(卵管因子)の割合は、約30%前後と言われています。そして、卵管通過障害が原因で今まで妊娠されなかった方は、今後3年間で自然妊娠する確率が15~16%と驚くほど低率であることが報告されています。
不妊検査で必ず行われる卵管検査で卵管閉塞と診断される例は27.4%(片側、両側)です。
卵管検査を受けFTの適応となる方は、卵管検査を受けた内の18%(約5人にひとり)となる報告があります。※1
※1 Osada H: Fertil Steril. 2000; 75:1032-6
診察時、またはホームページ・お電話にて予約をお取りください。
手術は、月・水・木曜日の午前中に行っています。
予約が混み合った場合などは、希望日に予約がとれないことがあります。
また、診療の混み具合によって、開始時刻が遅れることもありますが、ご了承のほどお願いいたします。
FT後、約30%に妊娠中が成立するとの報告があります。期間としてはFT後の1年以内の妊娠が多いです。※1
世界の報告では、累積妊娠率では22.3%という報告があります。※2
FTによって、卵管を再開通させることができれば、タイミング療法や人工授精による妊娠が十分に期待できます。ただし、卵管障害の程度によっては、10%未満ですが、卵管の再開通ができない場合があり、再開通に成功しても術後早期に卵管の再閉塞や再狭窄が生じる場合もあります。
卵管内の観察所見や女性の年齢によっては、短期間で高度生殖医療(体外受精)へのステップアップをお勧めする場合があります。
※1 生殖医療の必修知識 2020. p217-221
※2 P De Silva: 32nd Annal Meeting of ESHRE. 2016. 0-204
月経終了日から排卵までの期間に行います。
なお、手術日翌日までは、避妊が必要です。
ご予約日時に合わせて受診時間をお伝えします。
9時半頃に受診して頂く必要があります。
静脈麻酔下で実施していきますので、ほぼ眠っている間に終了します。
ただし、術後に麻酔がきれると、下腹痛が生じることがありますので、その場合には鎮痛剤(坐薬など)を使用します。
・FT後の通過性回復は95%以上にも及びますが、このうち約10%が治療後の再度閉塞に至るとされます。※1
・麻酔にともなうアレルギーや気分不良などが生じる可能性があります。
・術中の合併症は多くないですが、ときに卵管穿孔を起こすことがあります。
→通常この場合でも、経過観察のみで自然軽快します。
・手術後に腹痛や少量の出血、感染を起こす可能性があります。
※1 末岡 浩 : 日本産科婦人科学会 研修コーナー 2009;61:N-580-N-584
FTは健康保険適用となります。
高額療養費制度が適応されますので、
手続きについて示しておきます。
以下に自己負担額について説明します。
片側 | 約14万円(健康保険3割負担の場合) |
---|---|
両側 | 約28万円(健康保険3割負担の場合) |
※申請先:国民健康保険の場合は、各市区町村役場の国保年金課にて随時受け付けています。
組合健康保険の場合は加入する各健康保険組合が、協会けんぽ、船員保険の場合は全国健康保険協会の各都道府県支部が、共済組合の場合は加入する各共済組合が、それぞれ申請を受付けて「限度額適用認定証」等を交付します。
※FT手術は高額療養費制度の適用となるため、ご自身で手続きをされると3ヵ月後には自己負担額を超える分(所得額により返還額は異なります)が返還されます。
※民間保険の入院/手術保険による支払いの対象となりますので、診断書が必要な場合は手術当日に持参し、受付へ提出してください。
ただし、診断書作成に約2週間要しますのでご了承ください。
高額療養費制度について
詳しくはこちらをご覧ください
高額療養制度の限度額認定証が、事前に健康保険組合などに申請していただけるようになりました。
この認定証をご提示いただければ、窓口でのお支払は自己負担限度額までとなります(医療機関ごとに認定証が必要となりますので、ご注意ください)。
事前申請が間に合わない時や認定証を提示しない場合は、従来通り自己負担分の医療費を全額お支払い後に申請することで、限度額を超えた金額が返金されます。
ひと月あたりの自己負担限度額が平成27年度1月より細分化されました。
区分アで約26万円、区分イで約18万円、区分ウで約9万円、区分エで約5万8千円、区分オで約3万6千円となります。
所得区分 | 自己負担限度額 | 多数該当 |
---|---|---|
①区分ア (標準報酬月額83万円以上の方) |
252,600円 +(総医療費-842,000円)×1% |
140,100円 |
②区分イ (標準報酬月額53万~79万円の方) |
167,400円 +(総医療費-558,000円)×1% |
93,000円 |
③区分ウ (標準報酬月額28万~50万円以上の方) |
80,100円 +(総医療費-267,000円)×1% |
44,400円 |
④区分エ (標準報酬月額26万円以下の方) |
57,600円 | 44,400円 |
⑤区分オ(低所得者) (被保険者が市区町村民税の非課税者等) |
35,400円 | 24,600円 |
※「区分ア」または「区分イ」に該当する場合、市区町村民税が非課税であっても、標準報酬月額での「区分ア」または「区分イ」の該当となります。
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